2015年6月30日火曜日

次のメインストリーム産業を考えてみる


早いもので今年も折り返し地点ですね。

2015年が半分終わったところで、今日は「次に来るメインストリーム産業」を考えてみたいと思います。

今年の前半はシード向けファンドの立ち上げが本格的に始まって、シード期の起業家と関わる時間が増えました。

シード期の投資は一定量確か”らしい”という仮説をもとに、メインストリーム(今後大きな成長が見込まれる市場)に対して投資をしていくという意味で、この市場を獲っていくんだという気合と、どのような状況下でもこのチームを信じるという覚悟が占める割合が大きいなと感じました。

そんなわけで我々としても市場に対して仮説を立てて、明確に狙いを持ってシードファンドを運営していこうと思っているわけです。

今年、年初の1月6日に行なったチームMTGでは、私からは以下3つの領域を挙げまして、うち1つの分野について投資をすることができました。

今年狙っている産業


・CtoC(ミドルマンスキップ)
・不動産
・動画


■CtoC

「CtoC」のテーマでは無事、自動車整備工場のクラウドソーシングx中古車CtoCという切り口でAncarさんに投資することが出来て、これからが本当に楽しみだなぁという感じです。
CtoCになることでユーザーさんが便利になるサービス、価格が最適化されるサービス、稼働効率が上がるサービスについては引き続き積極的に探していきたいと思っています。


■不動産

「不動産」についても引き続き、市場に変革が起きそうな気配です。歴史がある市場で、立ち向かう山は非常に高く険しいですが、起業家の方々と議論を進めながら、ユーザーのさんにとってより良いサービスが作れればと思っています。


■動画

「動画」は、まだまだ全プレイヤーが試行錯誤の過程にいるのではないかと思います。概念自体新しく、コンテンツの文脈としても最も進んでいる形式です(AR/VRを除く)。各SNSも動画体験をより良いものにすべくフォーマットを変更していますが、分散型ソーシャル時代に最も適したコンテンツとは何なのか、定義できたプレイヤーが勝つのではないでしょうか。


メインストリームになりそうな産業で、気になっている分野


その他、出ているところで今後熱そうな市場を以下に挙げてみます。

・インバウンド(訪日旅行者向けサービス)
・医療(ヘルスケア)
・物流


■インバウンド(訪日旅行者向けサービス)

「インバウンド(訪日旅行者向けサービス)」は言わずもがな、様々なスタートアップが訪日旅行者の課題解決に取り組んでいます。現時点では、メディア型コンシェルジュ型の大きく2種に分かれているのかな?と捉えていますが、ここに今後はコマースが追加されると見ています。訪日旅行者対象のコマースサイトを準備中の方がいたら是非お話してみたいですね。


■医療(ヘルスケア)

「医療」関連サービスは起業家の方たちとあまりお会いできていないのでサービスを拝見している限りですが、クチコミサービスQ&A予約&オンデマンドの3軸と捉えています。今後医療向けサービスは確実にニーズが強くなることが予想されていることもあり、既に一定量コンテンツがストックされているサービスが出揃ってきている印象です。

クチコミサービス:


Q&A:


予約&オンデマンド:


■物流

「物流」もかなり気になっています。購買体験におけるオンラインとオフラインの垣根が無くなっていくと、物流の即時性が求められるのは必然で、Amazonでも翌日に届くのがデフォルトのように思えてきてしまっています。現在大型トラックのドライバーは50歳以上が3分の1以上を占めており、不在からの再配達なども入ってくるとリソースを最適化はマストと言えます。


結論、市場選択が全て

ですね。
個人的には、「チームの特性×ビジョン×メインストリーム産業」が勝利の方程式だと思っています。

下半期もよろしくお願いいたします。

2015年6月24日水曜日

セコイアが投資する自動車関連スタートアップ10社

自動車系スタートアップが気になって、CrunchbaseからSequoia(セコイア)のポートフォリオ内にあった自動車関連起業を抽出してみました。



全部で10社ありますので、調達額が大きい順にご紹介します。


Ola(インド)




ご存知、インドのUber。

3月には、20分以内に届けるフードデリバリーサービス”Ola Cafe”をローンチしたりと対Uberに向けて着々と迎撃体制を築いています。

Olaの社長Bhavish Aggarwalって、29歳なんですね…!CTOのAnkit Bhatiも同い年。

2011年4月$330K
→2012年  4月$5M
→2013年  3月$20M
→2014年  7月$41.5M(セコイア参加)
→2014年10月$210M
→2015年  4月$400M




中国版Craigslist。こちらは自動車特化というわけではなく、オールジャンルのクラシファイドサイトになっています。2013年にIPOした58.comを猛追した結果、買収されるという胸が熱くなる展開。

もともと58.comは引っ越しや清掃といったO2Oと相性が良い業者さんのネットワークを築いており、Ganjiは12都市で中古車のC2Cサービスを展開できていたことため、両者にとって良い補完関係になったようです。

2009年1月$8M
→2010年  5月$20M
→2011年  1月$70M(セコイア参加)
→2014年  8月$200M
→2015年  4月、58.com により買収




中古自動車の売買プラットフォーム。厳密には、売り手は個人、買い手は全国の中古車販売店というCtoBプラットフォームです。

中古車の品質や履歴を検査する独自の検査基準を設定してスコアリングすることで、買い手の販売店が実車を見なくても安心して買えるような仕組みを作っています。

日本でもデファクトになれるようなスコアリングシステム、作りたいですねー。

2011年1月$5M
→2013年  3月$20M
→2014年  2月$50M(セコイア参加)
→2015年  3月$110M(セコイア追加)




中国(広州)のレンタカーサービス。2012年以降、最近はあまり英語でのニュースが出ていないようでしたが、現状はどうなんでしょうか。

2011年8月、金額非公開(セコイア参加)
→2012年11月$100M(セコイア追加)




中国(北京)のカーシェアプラットフォーム。地図上でピックアップできる場所が表示できて、使いやすそうなUIですね。60M調達時点では中国内11都市でサービス展開中、自動車登録台数は10万とのことです。

2014年6月$10M
→2014年12月$60M(セコイア参加)




C2Cライドシェアアプリ。使っていないクルマを時間貸し・借りすることができるサービス。2015年2月の記事では自動車登録台数12万とのこと。

2013年3月$589K
→2014年  1月$10M(セコイア参加)
→2014年11月$60M




ライドシェア、Carpool(相乗り)アプリ。2015年4月時点で中国内4都市でサービスを展開しているようです。

中国のライドシェア市場はUberをはじめかなり混み合っているようですが、今後どのような戦法で戦ってくるのか気になりますね。

XiaomiCEOによるAngelラウンド
→2015年4月、金額非公開、数十億調達(セコイア参加)




こちらもCarpool(相乗り)で乗りたい人と乗せたい人のマッチングを行うアプリ。

2014年8月$10M(セコイア参加)




中古自動車の売買プラットフォーム。SoucheはCheyipaiとは違い、B2B(販売店と買取店)を主とした小売りとしての立ち位置のようです。自社が持つリアルの自動車展示場で売買を行わせており、日本でいうUSSのようなカーオークション会社の立ち位置にあたるポジショニング、という理解です。

2013年1月$1M調達
→2013年  9月$10M(セコイア参加)




Web又はスマホから手軽に予約可能なレンタカー事業。2015年3月時点ではバンガロールで1,100台が利用可能であり、今年中にデリー、ムンバイ、ハイデラバード等へ展開していく戦略のようです。

2013年4月$600K
→2013年10月$2.6M
→2014年  4月$1.3M
→2014年10月$8M(セコイア参加)

結論:国を跨いでアジア中心に結構ガツガツ投資してた


リージョン跨いで投資をしていくことでエグゼキューションの知見がどんどん溜まっていき、最終的な成功確率も比例して上がっていくというような構図でしょうか。


ちなみに、日本の中古車スタートアップ系ではこんな会社があるようです。






以上、@mitacavでした。



2015年6月17日水曜日

インバウンド(訪日旅行者)にまつわる市場環境


CAVの三田です。(@mitacav
 
今更ながら、白洲次郎と茂登山長市郎にハマっております。

外資系投資銀行で生き馬の目を抜くようなお仕事をされていた方から"稀代の商人"茂登山長市郎氏に関する本をお貸しいただき、読んでみました。

本書には、商いにおいて重要な要素は「義理と人情」、「運と縁」、そして「人と人」である、ということがご本人の壮絶かつドラマティックな人生をもとに書かれており、非常に面白い本でした。
 
商いの要素は100年前から何ら変わりが無いのだな、というところを改めて意識しつつ、本日は最近話題のインバウンド(訪日旅行者)に関するデータをまとめていきたいと思います。

・統計データ

1.訪日外国人数推移


2020年に2,000万、という大きな目標を観光庁が掲げていることはみなさんもご存知かと思いますが、実際にグラフで見るとこのような推移となっています。震災の影響で一度落ち込んだものの、その後は綺麗な右肩上がり。


2.日本国内の外国人労働者数


外国人労働者数は年々増加しており、2013-14年で1割増、2014-15年は約2割増という見込みが入国管理局の統計として出ています。


3.日本への留学生総数


日本への留学生の数ですが、2011年を機に現在頭打ちのように見えます。

・雑感

こちらの記事にも書かれている通り、チャット形式のサービスは一気に増えましたね。


 
先日のIVSでも「TRIPAN」というチャット形式の旅行コンシェルジュサービスがローンチされており、今後が非常に気になるところです。(.guideってドメイン、素敵です!)

最近は「検索することがおっくうで、Google検索が出来る人に代わりに調べてもらってます」という中学生の話も聞いたりなんかして、もはやそういった世代にとってはチャットでふわっとしたことを聞いたら欲しい回答を即レスしてくれる、みたいなサービスが当たり前のUXになってくるのかなと。

元はといえば、CSをチャットでやるというのはけっこう理にかなっているはずで、物理的に1対1しかお話できない電話に比べて、お互いにとって効率が上がるやりとりの方法なんですよね。
 
ぼくもAmazonで一度藤田晋という人が書いた「起業家」っていう本を間違えて2回ポチってしまった時に1冊キャンセルしたのですが、その時はAmazonのチャットで、5分くらいで解決した記憶があります。(PR)

あとは、意外と大阪ガスなんかも3月からチャットサービスを始めてたり。




さて、話が大規模に逸れましたが、インバウンドは今後も伸びそうな感じで、それに伴ってチャットで課題解決するサービスもまだまだそれなりに増えそうな気配です、という話でした。

ちなみに、日本における外国人労働者数、国別はどんな感じかというと以下のような割合です。



国で区切る「各国別ローカライズ」、言語で区切る「クックパッド戦法」のほかに、宗教で区切るという切り口もありそうですね。

それでは、今日はこのへんで。